あの日、かよわさを脱ぎすてた乙女。
加藤泰清

かよわい乙女


一:「か」なり「よ」しざ「わい」い「乙女」
   ↓
   かなり吉澤いい乙女。


ニ:「か」れた「よ」かんがするわざ「わい」の「乙女」
   ↓
   枯れた予感がする災いの乙女。


三:た「か」かった「よ」うかん「わ」がしにうと「い乙女」
   ↓
  高かった羊羹。和菓子に疎い乙女。


四:「か」あさん「よ」きんつうちょう「わ」たしにかしなさ「い」とせまる「乙女」
   ↓
  「母さん、預金通帳私に貸しなさい」と迫る乙女。


五:「かよ」がた「わ」しでい「い乙」と「女」
   ↓
   佳代がたわしでいいお勤め。


六:あ「かよ」り「わ」る「い」いろの「乙女」
   ↓
  赤より悪い色の乙女。


七:まだ「かよわい」わい「乙女」さん
   ↓
  まだかよ、わいわい乙女さん。


八:ほーむらん「か」っとばす「よ」ばん「わ」く「い」こころは「乙女」
   ↓
  ホームランかっとばす四番和久井。心は乙女。


九:「か」らだ「よ」りも「わい」はこころでしょうぶや「乙女」はん
   ↓
   体よりもわいはこころで勝負や! 乙女はん!


十:「か」あさん「よわい」はちじゅうそれでもいいはるわたしは「乙女」
   ↓
   母さん齢八十。それでも言い張る「私は乙女」



未詩・独白 あの日、かよわさを脱ぎすてた乙女。 Copyright 加藤泰清 2006-05-06 18:11:26
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