隣の芝
田島オスカー



見るに堪えない
もう限界なのです
あたくし


晴れやかな笑顔の他人を
少しも憎いとおもわずに生きていくことの
むつかしさ

本音を少しだけこぼして
申し訳なさそうにすがって泣いてみせることの
なさけなさ


愛を知らないままに
顔を赤らめてくちびるを寄せてやることの
芝居染みた様子は
あたくしの想像を超えていて
帰り道のうっすらした夕暮れに
辱められているようだった

あたくしを真ん中に置いて
外堀の向こう側で華やかに
幸せが舞い踊っている
何もかもを握り締めることができないあたくしへの
これは 立派な対処の仕方だった


見るに堪えない
もう限界なのです

 


自由詩 隣の芝 Copyright 田島オスカー 2006-04-30 02:26:23
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