サト
実夜

地元の海を見に、帰ります。

海岸にはいろいろなものが流れ着いていて、

それらを愛でに帰ります。

磨かれた硝子、

滑らかな流木、

色巻貝の中心、

秘密の詰め壜、

そんなものを拾ってきます。

灰色の海は心を曇らせも晴らせもします。

全てを流して、帰ってきます。

風に潮がのって、部屋の窓から忍び込むのを

楽しみに帰ります。

夢ではきっと、暗くて生暖かな海に

沈むのだろう。

きっと、稲荷の使いがあいさつに

やってくるのだろう。

夜中に静かに。

懐かしいよ。

全てが。


未詩・独白 サト Copyright 実夜 2006-04-27 17:57:07
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