残り火
蒼木りん

瞳は今でも
汚れてもいなく
色褪せてもいないのに
それを気づく人は
母しかいなかった

私の求める人は
自分
を見て欲しい人だった

私が見ていなかった
私も自分
を見て欲しかった
見てくれていたのは
たった一人の母だった

私はまだ
子どもだったのだろう
子どもにもなれない
消えそうに
潜めた光の呼吸を
繰り返す

魂は
何者かに魅入られて
罪の懺悔の償い
難題をつきつけてくる
弱い部分
隙間の空いたところの

いまさら
人間にさえ生まれていなかったら
もないだろう
それは
禁句

見つめる
風に煽られる
残り火



未詩・独白 残り火 Copyright 蒼木りん 2006-04-21 22:58:22
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