幻の太陽
服部 剛
深夜の浜辺で
青白い顔をした青年は
焚
(
た
)
き火の前で
膝
(
ひざ
)
を抱えている
肩を並べていた親しい友は
すでに家路に着いた
胸の内に引き裂かれた恋心
誰の手にも
繕
(
つくろ
)
えず
只
(
ただ
)
青年は燃えさかる炎をみつめながら
やり場のない情念を溶かしていた
見上げれば
夜空の闇に昇る幻の太陽
燃えている
報われぬ愛を
嘲
(
あざわら
)
うかのように
散りばめられた星達が囁く唄
押し寄せるように繰り返す波音
頭を揺らす焚き火の炎
青年の
痩
(
や
)
せた肩に置かれる
風の
掌
(
てのひら
)
自由詩
幻の太陽
Copyright
服部 剛
2006-04-16 23:00:14
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