その一点から
ネジ



わたしらが抱く少女幻想の姿れの果て
一体そんなうつくしいものがどこにあるのと

血や肉で出来たわたしら見えないものでしか繋がれない

まるでひとつのものだとでもいう風に
わたしやあなたを私達と呼んでいる

南から街へと昇る風

うつくしいものの気配だけを見つめる眼には
見えるものしか見えないのだけど
うつくしいものの気配にばかり怯える身体を
無遠慮に撫でまわすのは見えないもの

世界への欲情から弾けてしまった

坂の上から振り向くわたしらは
安い香水や化粧の匂いで一杯なのでした
それが少女というものを作りました

塩辛い風を飲み込みながら叫ぼうとする
うつくしさの終わりになにがあろうと構わない

そして幻想の加速を糧に少女を脱ぐ

この坂を一思いに駆け下りて飛び込むしかない

わたしらは抱かれた少女像という網に
望んで身を投じたうつくしく不味い魚の群れ


未詩・独白 その一点から Copyright ネジ 2006-04-01 17:21:39
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