美しい木
mina
美しい木は
幾百年ものあいだ
その土地に立ち続けている
カナリアたちが
愛したその木は
誰もいったことがない場所
誰もがいったことがある場所に
根をおろしている
朝の光でくちばしを温めて
カナリアたちは今日の話をはじめる
南の土地では
湖の氷が溶ける音をきいた
鹿たちが霜の上を歩くその下に
隠れている命の種の声をきいた
北の土地の木の葉の裏でみのむしが
夢のしっぽをつかんでいて
あなたの名前のなかで眠っていた
世界の話をカナリアたちが運ぶ
未詩・独白
美しい木
Copyright
mina
2006-02-05 00:53:39
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