春の裁ちかた
あおば





服の裁断は難しいので
やったことがない
春になると
春の型紙が
雑誌の付録に付いている
型紙が
さあ作りなさいと声かける

デパートや生地屋さんに
一反木綿を買いに行く
ついでにキャラコも買ってきて
誰かが何処かでささやいて
小池で小舟の帆が反り返る

私の親父は不器用で
パッチワークができなくて
仕立屋さんに殴られる
息子の私も不器用で
接ぎの当て方分からない
仕立屋さんに殺された

仕立屋さんに
もてたのは
柳泥鰌にミズスマシ
お酒をつまんで
笑ってる

隣の姉さん器量良し
生まれたときから
春を裁ち
山の小僧を
集めては
緑の反物
染めている






2006/02/04


未詩・独白 春の裁ちかた Copyright あおば 2006-02-04 11:14:39
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