残闇の口笛
たりぽん(大理 奔)

これから明けていくというのに
どんな闇より深い
口笛が
聞こえる

とぎれがちになるのは
灯台が
瞬くから
そして波が
騒がしい

そう、音が
熱をともなって
肌を
突きぬける

暮れたばかりの空を
残照と呼ぶならば
口笛の名は
残闇だ

黒をはらんだ朝が明ける
夜の記憶を
熱の輪郭を
なぞる

小さく細く
口笛で
そのひとの名を
吹きながら





自由詩 残闇の口笛 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-01-20 21:56:14縦
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