無題
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世界地図の富士山あたりにひとつ穴をあけて
そこから乳首を出してごらん
大きい世界と小さい世界は紙一重だと分かるはずだ
俺は巨大な山を乳首ひとつで担うけれど
決して俺は巨大ではないのだから

まだ外には大きな世界があって
それはとても小さな世界に繋がっている

それよりもこの遊びの一番の山場は鏡を見ることだ
できるだけ大きい、よく映る鏡がいい
地図から乳首のぞかせてる自分に気づき









いつか君が読むことがあればいいと思うけど
君は詩なんか知らない
それでも俺たちは一緒にコーヒーが飲めるね
これはとても素晴らしいことだと思う

大好きな喫茶店でいろんないろんなコーヒーから一つ選ぶとき
君は決まって語感で決めた
ビガクブレンド、グァテマラ
読むときに口が動いてしまう癖が
俺すごく興味深いと思ったよ
薄暗いテーブル席で
くしゃみ一つもためらうくせに
静かにビガクブレンド、グァテマラ
名前がすべてのきっかけだと言った君はとても正しいと思う
それは音だけのイメージで
ビガクブレンド、グァテマラ
一切のてらいを剥ぎ取った感覚だ
言葉なんか目にない

俺たちは大好きな飲み物さえも変えていった
もうメロンソーダばかり飲んではいられなくなり
メロンソーダのメの音を切り出しただけで
町中は色を変えて糾弾するんだ
図書館は本を貸してくれなくなるし
公園は草だらけになって裏返る
反社会的な童貞たちを町ぐるみで追い立てる
そのためにママさん会が年間にかなりの活動をしていると聞いた
だけどそんなことを考えてる時の俺を信用しちゃいけない
少女漫画にヒゲを書き足すのと同じくらい
どうでもよくて純粋な遊びなんだ

俺が
語彙がね、なんていう
間抜けな発音をぽっと口にしたとき
君は真剣な顔をしていたね
語彙、語彙、
イが母音すぎて恥ずかしいよ

いつだってそう
ほんとはたまに君みたいに今週のジャンプについて語りたい


未詩・独白 無題 Copyright --- 2006-01-13 07:19:33
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