空を見る
はな 


きっとめをつむっているうちに
文字はしずかに
みみのよこを抜けて
みずうみのように
空の低い
やさしい墓地のように
まっさらにひろがってゆく だろう



とうめいなかいだんが
がっこうの
屋上に あって
そのさきに
むかしの朝と
昨日のとおりあめのおとが
響いている

ふゆは
少しずつ
足元に沈殿する



あなたはきょうも
まふらーで
かおをはんぶん隠している
だれかをくるしめない
ための、ことばは
もう いらない
おとうさんのあしのうらを背にして
一直線の並木を
めをつむって駆け抜ける朝は
やわらかく おもく
そだってゆくまなざしで 温とい



ぜんぶこわしてしまえば、と
つぶやいた あなた
それでも
きょう がすきとおってゆく
めをつむって あなたを見つける
すべてが砂になり
あたしの爪が はがれおちても
きょう
すきとおってゆく


未詩・独白 空を見る Copyright はな  2006-01-10 03:36:50
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