PS2ソフト「Rez」はすごいTVゲームソフトだ。
和泉 誠
ちょっと前までTVゲームがすごく好きでした。
両親に一日一時間と厳しく決められていて、
思うようにできなかったのが原因かもしれません。
TVゲーム自体がおもしろかったというのもありますが、
禁じられている遊びをこっそりやっているという刺激が
私をここまで魅了したのかもしれません。
両親は共働きでしたから、日中は家を空けていました。
部活をサボって一直線に学校から帰ってきて
誰もいない家でTVゲームのスイッチを入れるときの
あのドキドキ感が今でも忘れられません。
ああ、誰にも邪魔されずに好きなだけ楽しい事ができるんだ。
私はそこに幸せの一つの形を見いだしていたように思います。
そんな私でしたが年をとるにつれて、
あまり先が長くないということを露骨に意識するようになりました。
すると何をするにも、これは自分の人生にどんな役割を果たす?
ということばかりが気になって人生に遊びの要素が少なくなりました。
昔は大好きだったRPGの謎解きも
なんでこんなのに時間を食わせているんだ、とか
昔から苦手だった格闘ゲームの修行も
こんなことして何か自分の人生に意味があるのか、とか
色々横やりが入って純粋に楽しめなくなりました。
なので最近はすっかりTVゲームにはご無沙汰でした。
けれども今年のお正月、あまりの暇さ加減に耐えられなくなって
ひさしぶりにTVゲームのソフトを買いました。
「Rez」というTVゲームのソフトです。
操作ボタンと×と○だけというシンプルすぎる操作法に、
ワイヤーを組み合わせただけというシンプルすぎるグラフィックに、
一体それがなんなのかよく分からない登場キャラクターやアイテム。
自分が一体何をしてるのかよく分からない難解すぎるストーリー。
シューティングゲームらしいのですが、
主人公が一体何なのかよく分からないし、
一体何を発射して、何を倒しているのかよく分からない。
ただ絶えず音楽が流れていて、敵を倒すと不可思議な新しい音が生まれる。
それが何となく楽しい。
ちょうど生まれたばかりの赤ん坊が
水を手でパシャパシャやって何かを喜ぶのと同じような感じです。
世界に溢れかえっている人も最初はたった一人で(あるいは二人)
人の心の奥底にはそのたった一人だった頃の記憶が眠っていると言われます。
それはとてもシンプルで低次元的なものではありますが、
今日世界に溢れかえっている人々すべての共感を生むものらしいです。
「Rez」はちょうどそれを意識したTVゲームのソフトな気がします。
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