パティシエと詩人は似てるかもしれない。
和泉 誠

「TVチャンピョン」という番組は私の好きな数少ないTV番組だが、
パティシエ達がたった1000円で独創性のあって美味しそうな
クリスマスケーキを作るという企画があった。

パティシエ達はその持てる技術と知識のすべてを生かして
誰にも負けないようなクリスマスケーキを作る。
彼らが作るものはケーキというより一つの芸術作品のようだった。
そこにはパティシエ達のこだわりと世界観がある。

それを見ていて、私はパティシエと詩人は似ていると思った。
詩を書けと言われても、よし詩を書こうと決めても、
そう簡単には人は詩を書けない。

パティシエは何度も何度もお菓子を作る練習をするらしい。
それこそ毎日のように単調な作業をただ繰り返す。
果物をひたすら切ったり、ひたすらメレンゲを泡立てたり。
そして彼らは毎日のように色んなケーキを眺めるらしい。
一体このケーキはどうやって作られているのか?
研究し、考察し、そして実際に自分でやってみて自らの技術にしていく。

それゆえ彼らはTVチャンピョンに出場しても、
まるでやらせ番組でもあるかのように、
素敵なケーキをその場でひらめき、自然に作り出してしまう。
日々の積み重ねの成せる技だ。

詩人もパティシエと同じだと思う。
毎日のように詩を作り、他人の詩をバラバラになるまで考察し、
ひたすら詩の知識を詰め込んでいく。

詩がすらすら書けない人は、
色々な原因が考えられる気はするけれど、
まず基礎練習をしなければいけないと思う。
おそらく詩の知識の絶対量が足りないのだ。
漫画みたいに絵を描く必要もないし、
小説みたいに長い文を書く必要もないから、
詩だったら私にも書けるよね?
それはケーキのように甘い考えだと私は思います。


散文(批評随筆小説等) パティシエと詩人は似てるかもしれない。 Copyright 和泉 誠 2005-12-31 13:27:33
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