寒灯日和
森川マサハル




あさ
テーブルに置かれた
コップのふちから
ゆっくりと 
日は すでに
暮れはじめている

午後
コップの高さから
風は 次第に
暗さ を深めていき
やがて
風上の黒い家屋から順に 
灯が
ふわり、ふわり、
と あがっていく

水辺では
ぴくりともしない水面
一匹のさかな が
あきらめたように
黒い水を 俊敏に蹴って
寝床へと帰る
夕暮れ
深まった
かたちの良い
いちまいの鱗が 
そのとき 
静かにはがれ落ち
沈められ
ゆっくりと
揺れながら
着地する

十二月の水底に
小さく
砂が舞い上がる





未詩・独白 寒灯日和 Copyright 森川マサハル 2005-12-01 13:30:11
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