11月28日即興詩会ログ
遊羽
- 遊羽 [23:44:30]
- この詩会は参加者同士がお題を出し合います。
まずはお題を考えてください。
順番は遊羽→片野→アスパラ→遊羽(敬称略)で
よろしいですね。
- 遊羽 [23:50:18]
- 僕から片野さんへ、「夜勤手当」
- 片野晃司 [23:50:51]
- 僕からあすぱらがすさんへ「海のクリスマス」
- あすぱらがす [23:53:34]
- バナナの木です>遊羽さん
- 遊羽 [23:55:34]
- 0時15分までに完成させましょう
- あすぱらがす [0:14:54]
- 君は青を聞いた
何も言わず笑ったね
海はさわめく
そんな単純なことなのに
緑も赤もない
この青に雪の白さ
美しすぎるんじゃないのか
聖なる日だからじゃないんだ
煌めきを見せたかった
イルミネーションの儚さ
なぜにこんなにも懐かしい
陽光の中天
それを感じて
誰にも踏み込ませたくないんだ
僕たちの世界に
話さないで
言葉はいつだって
真実から遠いんだから
一番きれいな部屋
そこにいるんだから
- 片野晃司 [0:15:18]
- 夜勤手当
昼が終わり
夜の季節が来る
長い長い闇の中で
気配だけが職場に溢れている
帳簿は誰かに捲られ
工具は誰かに握られ
どこかで旋盤が回っている
運河を隔てた向こう側では
誰も帰らない家々が
布団を湿らせて
冷たく沈んでいる
- 遊羽 [0:16:08]
- 『バナナの木』
スクーターで北の岬を目指していた
とある南の島
峠のカーブの横
グロテスクな花を咲かせた
バナナの木があった
野性のバナナ
いっちょ前に
実をつけていた
手を伸ばしたって
とても届かない
バナナの房の先端に
どす黒い色の花が
南の島の風にそよいでいた
見たこともない青い鳥が
見たこともない青い空の中
こっちに来てみろと
笑っていた
北の岬はまだまだ先
峠のカーブの横に
一本立ちで頑張っている
野性のバナナの木を見つけた
グロテスクな花が
小さな小さな実を守っているようで
ちょっとばかり滑稽だった
雨上がりのアスファルトの上
アフリカマイマイが
暢気にお散歩をしていた
バイクを止めてしげしげと眺めた
野性のバナナ
グロテスクな花が
大袈裟に咲いていた
手を伸ばしても届かず
なんだか九月に
よく似ていた
こんな木を途中で見るんだ
この島の北の岬には
いったい何があるのだろう
野性のバナナの木がある
日本のどこかのこの島
見たこともない青い鳥が
見たこともない青い空を
滑り回っていた
- 片野晃司 [0:38:34]
- 次のラウンドいきますか?
- 遊羽 [0:38:51]
- そうですねぇ
- あすぱらがす [0:39:10]
- はい
- 遊羽 [0:39:32]
- お題出し順は…
- 遊羽 [0:39:57]
- あすぱら→片野→遊羽→あすぱら(敬称略)
- 遊羽 [0:40:02]
- です
- あすぱらがす [0:45:49]
- ペリカンとメレンゲです
- 片野晃司 [0:46:17]
- では、遊羽さんには。「小惑星」
- 遊羽 [0:46:39]
- 「凋むもの達」
- 片野晃司 [1:05:36]
- ペリカンとメレンゲ
屋上の小動物園で
ペリカンが翼を広げようとしている
子供がソフトクリームを口の周りに垂らしながら
空を見上げている
空は一面白く濁り
奥行きも風向きもわからない
曇り空に囲まれた屋上で
ペリカンはゆっくり翼を広げ
また閉じる
空は白く濁ったままで
どちらへ流れるでもなく
ソフトクリームを口の周りに垂らしたまま
子供がいつまでも空を見上げている
- あすぱらがす [1:06:14]
- 言葉遊びにつまったのか
風邪薬の黄色の錠剤
と と と
意識が遠のいていくんだ
明日ふらふらになるんだろうか
ムーミン谷に住みたい
一緒にいてはくれないのか
殺してほしい
どこかに行ってしまう前に
離れたくはないんだ
遠くへ行っても
心が帰ってしまう
ずたずたになる前に
エゴだって知ってる
でもわかっちゃあいない
生きていたい
明日になれば
すべてが夢になる
日常に戻れる
現実だけが助けてくれるんだ
もどかしい
死の瞬間に
声をあげる君
落ちてしまえる
例え記憶中から
こぼれおちても
壊れても
忘れたりはしないから
- 遊羽 [1:06:31]
- 『小惑星』
仄暗い空間 無数に散らばる中
小惑星達は時に接近したり離れたり
ぶつかりそうになったり
背中合わせになったり
ぶつかって砕け散ったり
すれ違って冷や汗かいたり
それぞれが集団の中で
出会いと離別を繰り返しているのかも知れない
きっとまとまって
一つの電車に乗って
同じ方向へと流れていったり
一カ所にまとまって
ふわふわと漂ってみたり
ぶつかって破片を飛ばしてみたり
時に互いを牽制し合い
時に自ら気に入った相手に接近をし
僕らの知らぬ仄暗い空間で
僕らと同じような
社会を気付いているのかも知れない
そんな集団社会の中に
全く別の世界からある日突然機械が飛んできて
蝿のように周囲を飛び回り
いらないロボットを打ち込んで
時々地表に着陸しては
何やら痛そうな方法で
岩石をさらい取っていく
いてぇよこの野郎と
怒った時にはもう
その機械はどこか遠い世界へ
飛んで行ってしまい
それきり姿を現さなくなる
それでもその仄暗い闇の中
無数の小惑星達が寄り集まり
時にくっつき
時に離れ
東に病気のものがいたり
南に疲れた母をもっていたり
西に死にそうなものがいたり
北でケンカや訴訟を起こしたり
僕らと全く
同じようなことをしているのかも知れない
- 遊羽 [1:22:31]
- これで最終ラウンドにいたしましょう
- 遊羽 [1:23:37]
- では、お題の順番です
- 遊羽 [1:23:56]
- 片野→島→遊羽→片野(敬称略)
- 遊羽 [1:29:53]
- 僕は片野さんに「数学」
- 片野晃司 [1:30:10]
- 「Yシャツ」を島さんに。
- 島 [1:30:36]
- 「戸惑う」>遊羽さん
- 片野晃司 [1:50:41]
- 数学
ガード下にスプレーで描かれ
擦れてほとんど消えかけている
「4649」
「ヨロシク」なのか
それとも四千六百四十九なのか
それとも
41 43 46 49 51 と続く
数字の羅列の一部なのか
誰が書いたのかも知れず
しかし数としての存在はそこにある
計算される存在としての誰かの
存在の証としての数列
その消えかけた存在が
ガード下で
かすかに読み取れる
- 遊羽 [1:51:12]
- 『戸惑う』
異国で戸惑う
我 異国の異教徒
その出で立ちも肌の色も
土地の者とは違うことに
戸惑う
我 人目を引く存在になりし事を悟りつゝ
海岸で戸惑う
白き波は湘南のものではなく
その向こうにあるのは
たゞの群雲ばかりであることに
戸惑う
白き波の形にさえ違和感を感じつゝ
エスカレーターで戸惑う
見上げた先が想像以上に遠き事を
深い深い場所から
今見知らぬ地上へと連れて行かれることに
戸惑う
見上げた先が本当に地上なのか案じつゝ
異国の海岸で戸惑う
乗るべき船に乗り遅れ
見知らぬ街に放り出されてしまった
我 異国の異教徒であるが故
戸惑う
乗るべき船が次にいつ来るのか迷いつゝ
異国のエスカレーターで戸惑う
右に立つべきか
左に立つべきか
最初の一歩を踏み出すことに躊躇し
戸惑う
右に立つ習慣のないわが街を思い出しつゝ
- 島 [1:52:47]
- 「Yシャツ」
アイロンの熱に暖かさを覚え
ふと気がつけば
身を焦がす夜を思い出す
消え入りそうな記憶の中で
しっかりと刻まれた
掴んで離さなかった指
シャツを引っ張る指
ここのところ、急激に寒くなり
アイロンの熱で
指の温度を探してしまう