柔軟剤から紅玉
蒼木りん

シワにならない柔軟剤は
弛めの脱水の後
しわを伸ばして畳んでから干さねば
結局
シワになるのだった

この世の魔法は
何かしら条件や裏があって
そのため
純心なわたしは
物事の裏を探ってしまう癖がついた


昨日まで生きていた老鶏が
今夜の肉になり
目の開かない子猫四匹
水路に流してきたと聞いても
それ以上の感情は止めた

壊れてしまうほどの悲しいは
地球に隕石が中らない確率で
なぜか
大気圏の薄青いのが
バリアのよう

いつかは
隕石が降って来るだろう予感
それは
鶏や子猫とは
別なのか

ましてや
シワにならない柔軟剤
それは
綱渡りのバランスとり
意味不明


茶の間はいつも
現実であり
止まらない時間があった

食事を知らせ
食べて寝て
ちゃんと朝がやってくる

三十年前の蛍光灯が
まだ点くなんて
信じられるかい


タイムポケットの中で
わたしは紅玉を磨いている
磨けば
麗しい紅になることを
知って買ったのだ

いつかは齧ってしまう
壊しているのに
何故にこんなに快感なんだろう
そして甘美だ
そんな想像をしながら




未詩・独白 柔軟剤から紅玉 Copyright 蒼木りん 2005-10-31 23:38:36
notebook Home 戻る  過去 未来