「とにかく朗読でも音楽でも大事なのはリズム。リズミカルに響いてない言葉は聞き苦しい。」
2002年6月15日、東京某所で行われた「いんこ虎の穴」というイベント。
これに私は観客としてではなく、朗読者として参加しました。詳細は「蘭の会」オフラインリポート
でお読み下さい。
http://www.os.rim.or.jp/~orchid/
ここで、私は初めて、言葉をリズミカルに読むと、聞いていて非常に心地よいということを
教えていただきました。たとえメロディーに載せていなくても、リズミカルに語られる言葉は、
いつまでも聞いていたいと観客に思わせる要素を持っているのだそうです。
一番解りやすい例が短歌や俳句に代表される、5・7調あるいは7・5調の言葉だと思います。
5・7調や7・5調は、日本語の性質に非常に合うようで、とてもリズミカルに聞こえます。
例として、次の言葉を全く区切りなく息継ぎなしで読んでみて下さい、非常に聞き苦しくなります(笑)。
「さいとういんこはいいおんな彼女のこどもはおんなのこ」
でも、最初の言葉を7文字で止め、そのあと5文字を読むようにすると、一種の軽快なリズムが
生まれます。
「さいとういんこは いいおんな 彼女のこどもは おんなのこ」
さいとういんこさんは、さらにこの時、ピアノのレッスンに使うメトロノームを持ち出してきました。
そして4拍子のリズムを鳴らしながら、そのリズムを感じながら詩を朗読するように教えてくれました。
「さいとういんこは いいおんな 彼女のこどもは おんなのこ 」
チーン カッ カッ カッ チーン カッ カッ カッ チーン カッ カッ カッ チーン カッ カッ カッ
これを見るとわかるように、4拍子で7・5調を読むと、「いいおんな」や「おんなのこ」の後に
1拍の休みが入ります。これは、大抵の人が意識しなくても、日本語の短歌や俳句を読む際に、自然に
やってのけている現象です。ここに1拍休みが入ることでリズミカルになるわけです。
こんな風に、聞いていて心地よい朗読というのは、まるで歌か音楽のように、ある種のリズムを持って
読まれていることが多いのです。朗読用にテキストを選ぶ場合、リズミカルに読める構成になっているかは
非常に重要です。あるいは、朗読用に書き直すということもあり得ます。「こう読んだ方がリズミカルに
なる」という場合には言葉尻を書き換えたり、朗読用バージョンを新たに書いたりすることもあります。
そして、朗読の練習をする際、ぜひピアノ用のメトロノームを活用してみて下さい。いつの間にか
リズム感がしみ込んで、慣れてくれば即興でテキストをリズミカルに変えたりできるようになるかも
しれません。
●覚え書きメモ/その4:ある種のリズムを持って読むこと。練習時にメトロノームを使うといいかも。