みなさん、まず次の文章を読んでみてください。
なみだは
にんげんのつくることのできる
一ばん小さな
海です*
どうですか、読めましたか。
読めたと思います。簡単ですね。
それでは今あなたはこの文章をどんな声で読みましたか。
読んでいるときあなたのなかでどんな声がしましたか。
よーく聴いてみてください。
それは男の人の声でしたか。
女の人の声でしたか。
若い人の声でしたか。
年配の人の声でしたか。
それは誰に似た声でしたか。
それでは今度は、
自分で声を出して
もう一度読んでください。
どうですか。
いい声ですね。
今響いたあなたの声は男の人の声ですか。
女の人の声ですか。
あなたの声は誰に似た声ですか。
さあ、今度は目をつぶって
黙って、
文章をもう一度繰り返してみてください。
さっきの自分の声がしましたか。
違う声でしたか。
違うとしたら誰の声ですか。
今この文章を読んでいるのは誰の声ですか。
いつもあなたの中で響いているのは誰の声ですか。
安西先生、バスケがしたいです。
どうです、みっちゃんの声がしましたか。
*寺山修司少女詩集「一ばんみじかい抒情詩」