十六の声
唯浮

彼女は飛んでいってしまった
灰色のコンクリートに
白い羽を数枚残して
夕日目指して飛んでいった
だめだよ
あまり高く飛んでも
あまり低く飛んでも
失墜する
ほらイカロスのように
大きすぎる翼を持つと
堕ちてゆくのが決まり
残された羽を胸に取り
バラバラになった言葉を
掻き集めて
僕が言えたことは
「さようなら」
それだけだ…


自由詩 十六の声 Copyright 唯浮 2005-10-06 06:07:25縦
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