昔の名前で呼んでください
第2の地球

むかし
わたしが某サイトの東のチャット発言ランキング一位だった頃

某サイトの西のチャット発言ランキング一位の人がいた

わたしはその人に敬意を払ってか
その人はわたしに敬意を払ってか

わたしは西のチャットには殆ど行かず
その人は東のチャットには殆ど来なかった

そんな関係だからこそ 少し仲良くなれた

小学生のときから ひきこもっていたその人は
長年苦しんでいたが たまたま運良くネットに出会い
本当に短い期間だけれど チャットに明け暮れた

その人は想像しうる限りの一番酷いひきこもりで
更に
市販の風邪薬を何百錠単位で オーバードウズしているから
もうじき死ぬかもしれない
たまたま運良く死ななくても お先真っ暗な人生の指し示す
方向は ホームレスだとその人は言うし わたしもそう思う
家族とは同居しているが 口をきくことは殆どない様子で
また かなり激しく親や兄弟を憎んでいて
いつ殺しても そうおかしくもない状況だとも感じる

あれから数年 本当に細い糸を手繰り
わたしとその人は なんとかやってきた

その人はどんどんどんどん ひきこもり
ネットの中でさえ 誰とも口を聞けなくなった

そして 最後に残ったであろう わたしとの
本当に細い糸も やっぱり自ら切った

わたしは 勝手に切られて納得のできる人間ではなく
その粘着振りが 幸いなのか 災いなのか
その人の まえのまえのまえのまえのHPから
その人の昔の名前を呼んだ


さっきメールが来てた

アウトルックもHDから削除したとのこと
もうその人は こんな虚構の世界ですら生きているのが
嫌なんだろう


本当に死ぬ気なんだろう
その人と世界を繋ぐものは薬以外にもう何もない

ええ死になさい
手首かっきって 川に飛び込んで死になさい
運良く精神病院に何度目かの収容をされて
残りの人生 ベットの上で過ごすのもまたいいはなしだ



あの頃 ほんの一瞬の時間を共有して
バカみたいに笑って過ごして
ただそれだけで
こんなに大切になるものだなんて

神さまだって知らないだろうね
いないからね


どうしたって生きていけない人もいる
それもまた一つの 人生の答えだと

せめて見送りたいというこの気持ちすらも
おこがましい感情だと自分の情けなさに暮れる




未詩・独白 昔の名前で呼んでください Copyright 第2の地球 2005-10-05 22:28:54
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