into interstella burst/小林レント讃6
渡邉建志

承前

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チュードクシャ不定期報(番外編)


僕の中で、もう一度、向き合いたかった、向き合いなおしたかった小林レントさんの99年作品を、この夏、一通り読みなおし、そして考えをまとめてみたのだった。みたかったのだった。その作業が終わったいま、00年以降の彼の作品についての感想を、これまでほど包括的ではなく、番外編として書きたくなった。

揺(yu)以後、彼の詩は記号みたいになってくる。吉増的、といっていいのかなあ。そして、揺(yu)以前は中也的、なのかなあ。素朴VS難解、というのはひどいかなあ。 なんというか、揺(yu)以前は、いわゆる普通の口語で語られていた気がする。 普通の言葉の中で、ふいっとすり抜けていく勢いとか、シュールな感じ。ひらがなのにおいのするというか。それに対して、揺(yu)以降はカタカナや漢字の、角ばった構成的なにおいがする。それぞれが揺以前と以後にわりときれいに分かれていくような気がしていて、それがちゅーやVSよしますなのかもしれない。



■わたしは子宮で http://www.rondz.com/poem/poet/13/pslg12247.html#12247 00.1.7投稿 部分

「わたしは子宮を持っていません」
          はじめから、そう。
「わたしは子宮を持っていません」
               ん。あ。

揺(yu)の次の作。引用4行目の透き通るようなしずけさ。



■ナイフ、はやく、とどけ http://www.rondz.com/poem/poet/13/pslg12929.html#12929 00.2.1投稿 部分

ナイフ、
  はやく、
    わたしに、とどけ

題名も、この「わたしに、」も。息遣い、はやく、はやくって。



■封筒に書かれた詩 http://www.rondz.com/poem/poet/14/pslg13349.html#13349 00.2.15 まず読んできてください。

美しい詩。

ある場所で、レントさんの詩についてH氏とT氏に語ってもらったことがある。そのとき、彼らが偶然、同時に例に挙げたのがこの詩だった。そのとき、僕はこの詩をよく分からないなあと思っていた。T氏は

母音の欠けた空白の打楽器・・・------

が好きと言われた。H氏は「中間部の歩行」、つまり

この茶色の封筒に(薄らぎ・・・
      誰が音を求めてたろうか、
何処の空を飛んでいたのだろう
      この樹木の細かい筋のかたまり、
雨の重さに落ちた水たまりの中で
      なにも伝えたくなさそうに、
柔らかくなっていた 
      わたしの指は、それを拾った

の「音楽」が好きだと言われた。音楽として美しい。(僕がずっと前の回まで音楽という言葉を使い続けていたのは、この影響だ)。確かに 揺れるような歩行。僕はそういわれて初めて、優しいな、意外だ、と思った。それから、引用部の後の、

ミチノウエ、
     から
       シツナイ、へ
       わたしの足は歩行して、いま、

のいま、の改行。こういったひとつひとつの呼吸が肌に合うと言われた。詩の呼吸が、読み手の呼吸の肌に合うかどうかという視点って、考えたことがなかった。そういわれると、痛いほど良さが分かるような気がしてきた。それから、

         崩レ・・・わたし
             (watashi)

の、(watashi)の「残像」も。そう、この詩はsの文字と音の擦れが一つのテーマだ。それはwatashiのsである。s、この摩擦音。詩/s/、紙/s/。「母音の欠けた空白の打楽器・・・------ 」それがsの音。封筒の繊維の音、テクスチュアの音。「接触音」とH氏は言った。「sという子音の 身をよじらせている様子」とも。それがまた、紙の繊維みたいに見えるのだ。そうやって、頭からゆっくりと読み下していくと、最後に、パーっとまぶしい光が見えた。すごいと思った。me-te-のふと訪れる瞬間である。封筒と私の、水溜りから空への旅。そして酩酊と睡眠を通って封筒と私の融合。最初は封筒の筋の母音のない音から、最後は空の筋の光に至るまでのプログラム。

わたしと封筒は、いっしょになってゆく・・・------
         
              心臓の人類の音

 天井のガラスから吹き込む光に
             線の・・・筋の空が
                     訪れる




■ツノの生えた青いダンス http://www.rondz.com/poem/poet/16/pslg15365.html#15365 00.5.9 部分

すさまじい勢いの詩。ひらがな型からカタカナ型に変貌した痙攣するレント氏の疾走。

顔がたくさん潰れてできたテーブルの上で踊りながら
いちばんの激痛の笑顔を君にあげよう!


カオォ、
カオォ、

この、カオォとかすごいと思う。この詩全体でそのテンションが下がらないのがすごい。こういう狂気の異様な疾走はいままでなかった気がする。この後よく出てきた気がする。



■ゼリー・魚類 http://www.rondz.com/poem/poet/17/pslg16899.html#16899 00.8.1 結末

レント氏16歳(15歳の変遷はすさまじいものだったとおもう)。この詩、題名すごい!

魚類/私 と、
魚類/私でないもの と、をへだてる膜に
火をつけて廻る
若く疲労した(魚類?)男娼が
幽かに
幽かに笑う

(魚類?)男娼がすごい。すごいしかいえないけどすごい。若く疲労しているし、幽かに笑うし。このひときっと、青いと思う。



■くるくるわたしの今 http://www.rondz.com/poem/poet/18/pslg17260.html#17260 00.9.1 結末

わたしの血マミレに   “くるくるわたし”の
錆びた鍵が、ね。            鍵が
                  ほしくて
きもちいいク    (痛いかい、居たいかい、
きもちいいク    (居たいかい、痛いかい、


      (今、
         遠くの恒星でひとつぶの砂が爆発
         その、
         世界は終演をむかえた
         (観客たちは拍手をおくったか?
               
                   (NO,NO,,,,,,

題名がポップで好き。2段とか3段に分かれて、まるで楽譜みたいに同時に言葉が流れていく。僕はこのいちばん最後の、(観客たちは拍手をおくったか?//(NO,NO,,,,,,のかっこよさが忘れられない。あと、きもちいいクって言葉も、忘れられない。もう馬鹿みたいに、すごいとしか言えなくなってきた。いい言葉だよね。拍手をおくったか?NO,NO,,,,,,って。



■朝革靴満面の笑み http://www.rondz.com/poem/poet/18/pslg17374.html#17374 00.9.12 結末

でも本日は満面の笑み    狂気の家の庭にでて
僕は足踏み玄関で     カベチョロ喰ってた
靴はどんどん去ってクネ。

この詩も題名がすごい、すごすぎる。朝革靴満面の笑み これだけで詩ですよね。すさまじい語感、イメージ喚起。これもさっきの「くるくるわたしの今」と同じく、2段に分かれて同時進行。最後の、「カベチョロ喰ってた」はすごいですよね。カベチョロ忘れられない。つぎの靴はどんどん去ってクネ、もすごい。すさまじい音感だと思う。去ってクネ。



■煙草廻転墓石展開 http://www.rondz.com/poem/poet/18/pslg17532.html#17532 00.9.25

青春疾走詩篇。すてきすてき。

廻転 煙飲み込んでブッ倒れるまで ああ いい
展開 見せて呉れよ其の生を性をを 嗚呼 嗚呼

廻転を逆から読んで展開ですね。それにしてもこのエネルギーたるやすごいなあ。

俺は知らねぇ廻転シてヤる展開シてヤる
肉体的に且つケンカフ的にキモチよく欲欲
いい ああ 嗚呼 嗚呼 君 見せてクレよ
煙草吸いマクって御免なさい墓石前進経文前進
でも止められないから廻転展開炸裂青春どぉーん
どぉーん



■electro voice changer to the sky http://www.rondz.com/poem/poet/18/pslg17811.html#17811 00.10.15 

かっちょいー疾走。カタカナとレントスラッシュとレント括弧の冴え。

   (かわいらしく発狂すれば
    世界が君の「「「微笑んでいる、
            electro voice changer to the sky

この「「「で声が変わる。可愛らしい君の声になる。

脳下垂体が痛む(突っ込む
副腎皮質が痛む(突っ込む 
倍率の高すぎる望遠鏡を燃やす

リズムも内容もかっこいい。二回も突っ込むし。

そして封筒に書かれた詩のように、空に光が射す。その息遣い。今まではげしく読んでいた部分が、ウソのように、ここでは静かに。その振幅がすてきだ。

モルヒネは風に吹かれ揮発して雲
太陽が咳き込んで喜ぶ瞳孔が開かれる

光度が、すこしばかりあがった

その改行。「光度」。



■或ル、駆ケル、微惑星ニ http://www.rondz.com/poem/poet/19/pslg18372.html#18372 00.11.19

カタカナが押し寄せて脳髄を攻めてくる詩。題名がすごいし、スピードもすごい。カタカナの詩人、というかんじ。

  イく

 イく
 イく
 イく
 イく
 イく
 射精しない。

ここ好きだ。スピード感。最後微妙におちつくとこ。

びく
      びくびくっっ

                       アア!
   ケーレン!
  ケーレン!
 ケーレン!
ケーレン!ッッッッッ畏怖!!

この図形も痙攣している姿が見えていい。



■天神へ、視線や慾が http://www.rondz.com/poem/poet/19/pslg18986.html#18986 00.12.19 結末

嗚呼!僕にあと2本の脚を呉れ!
天神までいってしまって路上に冷たくなり
たい僕、首を真上にして蒸気フき上げなが
ら4ツ脚で生温い無人大通りガクガク走る
脚をもがれた昆虫のように天神に走る僕を
君はいま、喰いたいです!

この、「僕を/君はいま、喰いたいです!」はちょっと忘れられない力強さだ。えもすごい、ガクガク走っているそのようす。カタカナのうまさ!



■2001年の発砲事件 http://www.rondz.com/poem/poet/21/pslg20136.html#20136 01.2.45 冒頭

「南無、ふかづめ!そう叫んで宣教師の死んだ
のは夕暮れどき。強面ギャングは2発連続発砲
したのだけれど、いっぱつめの「あの夏の日よ
もういちど」が、いともかんたんに宣教師のあ
たまにめり込んだので、にはつめの「愛してる
なら0.1mm離れて」は、行き場を失って落ちる
太陽を追い掛けた 「まっすぐに、えいえんに

まず「南無、ふかづめ! はちょっと忘れられない(そればっかだな)。これもまた勢いというか疾走というか。とても好きで、かつて、わざわざMYBOOK2001にこの詩を書きつけて人の前で朗読したことがある(が受けなかった…)。ここにでてくる詩『くるくるわたしの今』との会話なんて、ちょっとたまらない。「さびしかないかい?/やぶからぼうにそう訊ねる」。ああ、少年の声だ。



■最近、朝がつづいている http://poenique.jp/kotodama/saikinnasaga.htm 01.3.7

至極、愉快な詩。とんでもなく、愉快な詩。等身大の16歳、って感じ。抜書きできないや、全部好き。だから冒頭。

家のドアは手前にあいてしまう
もやとひかりが忍び入ったあと
腕のほそい案山子があらわれた
朝から「『チュードクシャ月報』デス。
なんて黄ばんだ冊子を差し出すものだから
青いパジャマのぼくはしごくなんとなく
案山子の濃い両の瞳に
にほんゆびを突き立ててしまった

案山子の言葉がカタカナなのがいい。それに、「僕」はひどいことにしごくなんとなく攻撃するのだ。

ほかに、「舌の奥にのっけてごっくん」のリズムとか、「初公開映像ですぅ! の馬鹿馬鹿しさとか、たまんない。いちいち声が聞こえるな。

「ぼくは十六歳」の一行は、かっこいいっすね。



■Re;空中庭園-返詩として- http://www.rondz.com/poem/poet/23/pslg22187.html#22190 01.5.13

この詩も好きで、例によって朗読したんですが、無謀だといわれたり(笑)。でも、不思議な感じ、と言われて、うれしかった。不思議な、透き通った声が聞こえる。

おいで、おいで、こちらへ、セキレイ、たち
わたしたちはおまえをたべないの、だから

「たべないの、だから」



■フルメタル・ジャンク・ライフ http://www.rondz.com/poem/poet/23/pslg22221.html#22221 01.05.15

これもまた狂気の異様な疾走。力強い勢い。

フルメタル・ジャンク・ライフ
午後3時、ムキダシのおんながひとり
おれも居ないおれの部屋でひとり
"LOWWWWWW!!!"って叫びながら唾液まみれで昏睡してる
おれはなんで路上なんかにいるんだ全方向から太陽光

例のレント語LOWが叫ばれ、おれのまわりには太陽光、めちゃくちゃ眩しいやつ。珍しく命令形が出たりして。「理解しろ」。暑い暑い午後三時。題名もかっこいい。



■秋空の散文詩 日付不明(01年秋?) http://members.jcom.home.ne.jp/rentboy/akizora.htm これはお勧め

これは揺(yu)と同じで、言葉が宇宙だ。だから揺(yu)とこの詩がやっぱりいちばん好きだ。生死のよこを流れる河と同じ次元で。その世界の大きさは揺(yu)とにていて、しかしその激しさとは異なって、秋空のほうがもっと静かで、もうすこし広い。いや、激しさと静けさの矛盾なき融合というか。この人の言葉はこの人のもので、誰の真似でもなく、マグマなんだと思う。己から出てきて仕方がない言葉がそれだけの力を持ちうるということが、まるで奇跡みたい。揺(yu)と同様に、ここにはレントさんの姿が見えなくて、彼はこことは違うどこかで座禅でもしているみたいに思える。そして、彼はただこの世界を見ているだけのような。

(この詩を読んで、初めて小説とは違う詩の力というのを知ったし、そのイマジネーションは小説の文体では掻き起こすことのできないものだ。僕は詩について懐疑的だったのです。短い言葉で書いた小説でいいじゃないかと思っていたのです。それでおもしろいのならば。そしてすべての詩は難解に見えていたのでした。だけれど、詩の可能性ってこんなにもあるのだとびっくりしました、これはもうナチュラルにびっくりしました。論理的につながっていく文章(小説とかですね)ではできない世界がこんなにも広いだなんて、と。 説明的でない、意味と意味の間に深い谷がある、そこから霧のようなものが読者の中で勝手に広がって、そこにでかい世界を自動的に作ってしまう。小説というのはその世界を描写してしまうものです。それをいかに詳細に書くか、というのが小説の命のはずです。だけど、詩はそのように緻密にことばとことばが論理でつながっていてはその霧の発生を防いでしまう。でもその霧を発生させるのは天才のなせる業か凡人のかずうちゃ当たってしまったものか。凡人が努力してもそんな奇跡を常に生み出し続けるようなことは不可能だと思う。僕については、凡人が「詩みたいなもの」を書いていて、ときどき偶然当たっちゃったボールを「詩」と呼んでみようか、みたいな。そういう「凡人、天才にあこがれて、なんか知らんけど書き続けてしまっている」という図。だから僕は無理に詩という形をつくろうとはもはや思わないし恒常的に素敵な詩を作れる技術なんて磨きたいとも思わない。書いているうちに偶然バットがボールにミートしてくれればいいから自分が書きたくて書いたという初期衝動だけを大切にしようとそんなことをもぞもぞと考えて書いている。)

うつくしい、ですます調。スピードの伸び縮み。意外性。基調としての静けさがただ事でなく静かで、それが恐ろしい。それから、空洞のような、からからした音がする。

「「「名前をよぶのはケ楽ですか?「ええ、ケ楽です。「ケ楽はいま、どこにいますか?「北の灰色病棟、521号室です。「そちらの様子はいかがでしょう?「白髪の12人がここにいて、陽のあたらぬ壁側の6人がもう、小さく小さくなっています。「無機分解?「ええ、それもたいへん非効率な電気流動です。「それでは空気がわるいでしょう。「阿片粒がぷかぷかします。「それでお躰の具合は?(あんなに遠くへいってしまった。(緯線上を?(いえ、経線上をです。「名前をよぶのはケ楽ですか?「ジ楽です。

さいごの「ジ楽です に至るまでのスピード。そしてちょっと怖さ。後半、この部分がジ楽ではなくなるときがすごい。

「「「ル楽は現在、搬送中では?「二輪車の荷台に積まれています。「オモカゲビトと一緒ですか?「背中から数えて4回裏に。「マイナス加速をどちらのほうまで?「いえ、めずらしく一定速です。「おやおや、何処へも行けませんね。「そうとも言えぬものですよ。「それはどういうことでしょう?「あ、ただいま丁度、到着しました。「どこへです?(ここはあなたの尾骨です。(しかしわたしはケ楽ですよ?(いえ、ちがいます、あなたは「アントンです。

あなたは「アントンです。 の恐ろしさ。別の話に紛れ込んできている!声が聞こえる!ぞっとしました。

トイレのあるカーブは、オモカゲビトが追いかけてくるカーブで、とくに「上ヲ見ロ」とかすごく怖い。

うん。はいってみたの。薄暗かったけど、電気もついてて、なんとかなるかなって個室にはいって、ドア閉めたのね。そしたら、その閉めたドアの内側に剥げかけた赤い口紅で 上ヲ見ロ っておおきくかいてあって

その後の空白!

音やリズムも美しい。

(迷走彗星の尾をひいて、(百日紅から滑り降り、(廻転軸を季節にあわせ、
(曼珠沙華の道管くぐり。(痛点もなく空、晴れ渡り。

いろんなものが重なっていく。ぐるぐると彼の固有名詞が回っていて。
いちばんすきなのはおじいさんの遺書で、この詩のいちばん最後近く、

しかし、こうして綴っています11月10日も、すこしずつ寒さをまして、庭のモミジは眼に眩しいほど紅葉していますよ。この気候ならば、なんとか腐蝕は免れることが出来ると思います。本当に、秋にゆけてよかった。この季節をわたしは好きです。

は、ちょっとなきそうになる。言葉の優しさ、とくに、「この季節をわたしは好きです。」という、この語順と助詞の選択に、ぼくはこのおじいさんの声が聞こえて仕方がないのです。



■暮れの耳渦 http://poenique.jp/mero/08/0809.htm 02.12.11 部分

わたしは散歩に南区中央公園に居て居るだけで
巻込まれるのはヤーなので、俳句で呪う
ジジジジジ、ジジッジジジジ、ジジジジジッ

蝉俳句。ヤーなのでってかわいい。最後、遁走の影が夕焼けの中に見える感じ。



■不機嫌なオゾンの直下にて http://poenique.jp/mero/14/1410.htm 03.1.22 部分

カエロッカナ?と一瞬おもうが、そうだ
マイルームはラブホテルと駆け落ちして
富士の樹海へ潜ったっきり

すごいことになっている。過去に向けて後ろ向きに歩く彼の姿、見えるコイビトノカゲ、子宮、行き過ぎてシーラカンス。とにかく歩いていくと砂丘のてっぺんで足が棒。

不意の流砂に下半身を奪われ
うずうずの中心へぐるぐるしてゆく
オゥマイゴット南無阿弥陀仏
すると過去たちが行列をなし行進してきて
わたしを包囲し表情もなく眺めはじめた
初めて殺したテントウ虫もいて
せっかくなので挨拶といいわけを同時進行

オゥマイゴット南無阿弥陀仏 ですよ。過去がやってくるあたりすごいし、初めて殺したテントウ虫とか、細かいですね。で、

右親指だけが記憶しているナンバーに
電話をかけてみる
らくだに借りた携帯なので不安だったけど
二時間ぐらいで繋がった
「「「にゃあ?エリィだよ。
「あの、こいびとさん
 脳無しのカロヤカなわたしと
 とつぜんだけれどデートしない?

「「「にゃあ?エリィだよ。 が、かわいすぎます。対する少年も脳なしのカロヤカです。なんて会話なんでしょう。このあたりからどんどんのろけ詩みたいになって、それでかつ美しく。






さて、とくに結論も出さず終わります。小林レント氏の今後の活躍を期待しています。応援していきましょう。長い文章に最後までおつきあいくださり本当にありがとうございました。



渡邉建志 

2005/9/15, 10/1


散文(批評随筆小説等) into interstella burst/小林レント讃6 Copyright 渡邉建志 2005-10-02 03:07:04
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