らむね
アンテ

むねのなかに
がらすだま
があるんだっておもうと
うまくいった
らむねのびんみたいに
がらすだまを
くぼみにひっかければ
ことばだって
ちゃんとでてくるんだって

すきなこと
やりたいこと
がわからないっていったら
くらすめいとは
ふしぎそうなかおをした
すきなこと
だけにかこまれて
やりたいこと
だけをしているのが
いきるもくてき
なんだそうだ
あなた
じゃあ
どうやって
かちをはんだんしているの
わからない
わからない

とびらがふたつあるへや
のことを
よくかんがえる
いっぽうがいりぐち
もういっほうがでぐち
ときどき
いりぐちから
だれかがかってにはいってくる
まどのそとをながめたり
つくえのひきだしやおしいれをあけて
なかみをかきまわしたりする
ほしいものがあると
ぽけっとにいれて
きにいらないものがあると
こわして
することがなくなると
でぐちからでていく
つくえもとびらも
なんにもかんじない
まどもおしいれも
なんにもかんじない
へやは
のっくくらい
すればいいのに
っておもう

からだをゆらすと
きれいなおとがする
からころん
ひとりっきりになるとうれしい
しずかなあさ
かわらにでかけて
そっと
からだをゆらしてみる
むねのおくで
ちいさなおとがする

らむねのびんを
かばんにいれていたら
せんせいにみつかって
とりあげられた
なんにちかあと
くらすめいとのひとりが
しんせつにおしえてくれた
しょくいんしつで
だれかがひじをぶつけて
らむねのびんは
ゆかにおちたって
われてしまったって
ひとをなぐったのなんて
はじめてだ
それいらい
だれも
わたしにちかよらなくなった

すきなこと
やりたいことについて
かんがえてみた
かわらにすわって
ひざまでみずにつけると
きもちよかった
ねそべると
そらがきれいだった
てをのばしても
とどかなかった
すきなこと
やりたいこと
きめなくちゃいけないのかな
からだをおこすと
からころん
おとがした

まよなか
かぎをこわして
しょくいんしつにしのびこんだ
ゆかをはいずりまわって
どれだけさがしても
みつからなかった
かいちゅうでんとうで
ぐるっとへやじゅうをてらすと
なにかがひかった
せんせいのつくえのうえに
がらすだまはころがっていた
てをのばしたしゅんかん
あかりがついて
しょくいんしつのどあがあいて
おとなたちがはいってきた
なにかをはやくちでいって
わたしをおさえつけた
がらすだまをとろうとすると
おもいきりぶたれた
わたしの
がらすだまなんです
なんどもいった
なんどもいった
でも
きいてくれなかった
てをふりきろうとすると
ゆかにおさえつけられた
がらすのかけらが
いっぱい
ほおにささった





自由詩 らむね Copyright アンテ 2005-09-28 00:16:54
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