美しきサバイバー 〈映画〉『玉割り人ゆき』 2005/09/19
白糸雅樹


 ラピュタ阿佐ヶ谷(東京都)のレイトショーで、劇画原作のシリーズを上映している一環にこの作品があり、昨日見てきた。23日まで。

 「玉割り人」とは遊郭で、娼妓になる女に性技を教える師匠のこと。この映画、ゆきという玉割り人の主人公が、あまりに美しく、いさぎよく、見ていて、おいおい、こんなに美しく描いてしまっていいのか、という疑問や、加害者として生きることへの考察などが脳裏に渦を巻いてしまい、純粋に娯楽として愉しむことができなかった。しかし、勿論、本来なら娯楽映画として徹底しているからこそ、そのように描かれているので、私のような見方は邪道にちがいない。

 遊女に足抜きをそそのかした男と遊女への裁きを行なって、雪のちらつく光景を眺めながらの回想シーンに出てくる、ゆきの過去など、人間の描き方にふくらみがある。そして画面が美しい。

 無政府主義者の幼馴染を持つ娼妓のたまごが、水揚げの際、処女を装う為に渡された血袋の箱を、敢えて枕元に置き放しにしておく場面など、主人公以外の人物たちの性格描写、気持ちのゆれうごきも見ていてせつなくなる。

 若い男の子に、ポルノとして是非鑑賞してほしい一作。原作は劇画。牧口雄二監督。1975年/東映京都/カラー/64分。

 ラピュタのHPはこちら。
http://www.laputa-jp.com/

 レイトショーの情報はここ。
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/70returns/

 上映スケジュールはここ。
http://www.laputa-jp.com/laputa/main/index.html#2

                               2005/09/20 白糸雅樹


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