古式タイマッサージ
狸亭
ぼくにはあしが二本あり
うでが二本ある。
どうたいが一つあり
しかもそのどうたいには
おもてがあり
うらがある。
あたまが一つ、かおが一つあるのだが
左のあしを三十分
右のあしを三十分
あしにくらべると、うではみじかいしほそいから
かたほうについて十五ふんずつ
どうたいのうらおもてそくめんと
あたまとかおはもうしわけのようで
まとめて三十分。
ぎゃくえびがため
さばおり
あしをまげたり
うでをねじったり
どうたいをもちあげたり
さんざんもまれおされこすられ
かいかんにしびれたり
いたみにわめいたり
さけんだり
なんと二時間もかかって
すみからすみまでほぐされて
ぼくはどこかにきえてしまった。
(押韻定型詩の試み 25)