ころがるちゅうしん
カンチェルスキス







 得意げにまわってる
 あの子は
 何も話せないから
 おどけてるだけなんだよ
 水色の音楽の真ん中
 はしゃぎ過ぎて
 黄色のスカーフが
 ほどけて
 落ちたよ
 拾うのも忘れて
 お家に帰ったのです




 ビー玉を机に四つそろえて
 ふぞろいの前髪を
 うつした
 ちょうど雲の切れ間から
 お日様が顔を出し
 意外とつめたかった五月の朝の水を
 思い出したのです




 何度もさわっては
 ぷくぷくした指の先から
 かわいいお豆さんが
 出てくるのを
 待っている横顔は
 しんけんなのです

 

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 あわてても
 ないのに
 ぬいだ靴のかたほうが
 ひっくりかえっている
 花に水をあげたあとで
 ねむる
 川のせせらぎの底
 ころがる小石のように
 ころころした音が
 やがて聴こえてくるのは
 自分のひみつを明かすかのように
 しずかになっても      
 ころがり続けている
 あの子のこころのちゅうしん
 ゆえなのです。
 
 
 




自由詩 ころがるちゅうしん Copyright カンチェルスキス 2005-09-14 15:53:11
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