君に宛てて
Monk
あの頃、君に告げられなかったことを今
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ねぇ、君
冷やし中華を誰よりも早く始めたいの、とはりきる君の姿が僕は好きだったんだ
ねぇ、君
扇風機の首フリに合わせてずっと移動し続ける、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
太陽がどちらから昇るのか思い出すために天才バカボンの歌を口ずさむ、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
「ピザ、ピザ、ピザ・・・」と10回言ったあとに「ここは?」と聞いたら「ピザ!」と自信たっぷりに答える、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
誕生日のプレゼントに何がほしいか聞いたら「バリヤー!」と即答する、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
横綱土俵入りを見ながら四股が踏まれると同時に微妙に飛び上がる、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
歯ブラシといっしょに頭も動いてしまい歯磨きが終わるとクラクラしている、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
携帯でメールをするとすぐ「今、メールしたから」と電話してくる、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
突然キャベツだけまるごと買ってきて「どうするの?」と聞いたら「千切りしたいの」と答える、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
エスカレーターを逆走する子供に出会うといつも羨ましそうに見つめる、そんな君のまなざしが僕は好きだったんだ
***
ねぇ、君
いくらトーストをくわえて走り回ったって、転校生とぶつかったりすることなんて現実にはないんだ
ねぇ、君
いきなりヘッドバットをして「どう?」と言われても、そんなことで簡単に人格が入れ替わったりはしないんだ
ねぇ、君
モンブランのことをモランボンと言うのは、てっきり冗談なのかと僕はずっと思っていたんだ
ねぇ、君
いたちごっこっていうのは、そういうかぶりものとかは必要としないんだ
ねぇ、君
牛乳を飲むときいつも君は僕のほうをすごく警戒していたんだ
ねぇ、君
君が横断歩道の白いところをはみ出ないよう懸命なのを、僕は気づいていたけどずっと黙っていたんだ
ねぇ、君
君の鼻歌は僕が近寄るといつもいつも律儀にフェードアウトしていったんだ
ねぇ、君
ニワトリが先かタマゴが先かはっきりしてよ、と言われても僕にはどうしようもなかったんだ
ねぇ、君
きゅうすは猫を噛まないんだ
ねぇ、君
ビルが募集しているのはペナントじゃないんだ
あの時、君が
「プリンにしょうゆをかけたらウニになるというならば、ウニに砂糖をかけたらプリンになるのかしら」と言った気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が
「眼帯をしてるのがタモリであって、サングラスは森田だから」と言った気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が
「ハトって踏んだら『メェ〜』って鳴きそうじゃない?」と言った気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が
「だったらシャンプーinリンスがあってもおかしくないと思うの」と言った気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
ねぇ、君
スリッパを「スリッパー」と呼ぶ、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
電池のきれた携帯電話を一生懸命振っている、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
ある夜ミカンのお尻のところに人差し指を指したまま寝ていた、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
ノートの1ページ目に「清潔に使いましょう」と書いていた、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
車のワイパーを動かすと自然に首が動いてしまう、そんな君のことが僕は好きだったんだ
***
ねぇ、君
缶コーラを僕に渡すときにクスクス笑いを堪えているからすっかりバレバレなんだ
ねぇ、君
鍋とか熱いものを持つとすぐに僕に渡そうと追いかけてくるけど、熱いならばそのへんに置けばいいと思うんだ
ねぇ、君
シチューの残りに冷ご飯をいれたものはリゾットとは言わないんだ
ねぇ、君
昨日の残りものの冷えた酢豚を「冷やし中華」とは呼ばないんだ
ねぇ、君
カップラーメンが出来上がるまでの時間、そんなにずっとふたをにらんでいる必要なんてないんだ
ねぇ、君
毎日ポカリスエットを飲むことが、君にとってのスポーツの秋だったんだ
ねぇ、君
パソコンのCDの入り口に薄焼きせんべいを入れてみたいという君の気持ちはわからないでもないんだ
ねぇ、君
本に挟むしおりの代わりにスライスハムを挟んでみたいという君の気持ちもわからないではないんだ
ねぇ、君
自動ドアの「ここに触れてください」のボタンに気づかずにずーっと立ちすくんでいた君のことを、僕は笑えないと今日思ったんだ
ねぇ、君
本棚の本をぜんぶ床に並べて真ん中で正座している君に「かわいい本屋さんだね」なんて言うまいと僕は心に誓っていたんだ
君の手帳の一ページ
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しりとりでまけるどうぶつ
・キリン
・ライオン
・オラウータン
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ごめん、覗き見するつもりはなかったんだ
君の手帳の一ページ
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しりとりでまけるどうぶつ
※「さん」付けは全部だめ(クマさん、とか)
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ごめん、覗き見するつもりはなかったんだ。
君の手帳の一ページ
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水金地火木土天海?冥?
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ごめん、覗き見するつもりはなかったんだ
ねぇ、君
突然「お前を嫁に もらう前に 言っておきたい ことがある?」って質問の意味がぜんぜんわからなかったんだ
ねぇ、君
レモン100個分のビタミンC入りノド飴を「一個分にして」という君のわがままにはさすがにあきれ果ててしまったんだ
ねぇ、君
「ピンチです」とだけ書いたメールを送られてもすごく困るのでもうちょっと書いてほしかったんだ
ねぇ、君
「あくびがでるかも」とだけ書いたメールを送られてもどうにも反応のしようがなかったんだ
ねぇ、君
「5番の人ちょっとかわいそう」とだけ書いたメールを送られても何のテレビのことなのかさっぱりわからなかったんだ
ねぇ、君
(笑)や(泣)は読んでいる君が笑ったり泣いたりする箇所を指し示すものではないんだ
ねぇ、君
夜中にいきなりなわとびの二重跳びがまだできるかなんて確認しなくてもいいと思うんだ
ねぇ、君
効かなくなったリモコンを意地でも効かせようとして、すでに手を伸ばせばステレオの再生ボタンはすぐそこにあったんだ
ねぇ、君
コーヒーカップにコーヒーを注いで少し飲んではソーサーに溢れたコーヒーをまたカップに注いで、って何を見たのか知らないけれどそれは全然間違っているんだ
ねぇ、君
夜中に突然メールで「侍?」と君はきくから、僕は「残念ながら」と返したんだ
ねぇ、君
それでもしつこく「刀は命?」と君はきくから、僕は「刀はあぶない」と返したんだ
ねぇ、君
スリッパを両足に履いて前傾姿勢で構えている君の背中に、「どうしたの?」と聞くと「カタパルト」と答える、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
僕がコンタクトをはずしているとこっそり背後に忍び寄る、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
テーブルクロスの上にごちそうを並べて今日は何の日だろうと思っている僕にクロスのすそを持たせて「さぁ思いっきりどうぞ!」と期待の目で見つめる、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
耳が小さくてウォークマンのイヤホンが入らなくてムキになって無理やり押し込もうとしている、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
レンタルビデオ屋で「7泊8日でよろしいですか」ときかれ「4泊くらいでいいです」と答えた、そんな君のことが僕は好きだったんだ
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ねぇ、君
むきになって連続で逆上がりをする小学生の力を、なんとか有効に利用する方法はないものかと思うんだ
ねぇ、君
パエリヤもジャンバラヤもナシゴレンも、もうみんな焼き飯でいいと思うんだ
ねぇ、君
名探偵コナンで最初、被害者の死因が自殺のときほんとうにそれが自殺だったためしがないんだ
ねぇ、君
「これっくらいの、おべんとばこに」のお弁当をまじめに想像してみると、きざみしょうがと煮物とおにぎりで今時ではかなり貧相なお弁当であることに気づくんだ。しかもどれだけ大きなお弁当箱になってもやっぱり内容は同じく貧相なんだ
ねぇ、君
駅の自動改札で並んでいた列がつまってしまったときにする舌打ちは、いつか自分にそのまま返ってくるんだ
ねぇ、君
おはぎは食べられてもご飯にあんこを乗っけたものは到底食べられやしないんだ
ねぇ、君
マラソン中継の先導の白バイから一人くらいスターが生まれてもいいと思うんだ。
ねぇ、君
ラジオ体操に毎日通ってスタンプを嬉しそうに押してもらう少年少女たちに「だまされてるぞ」と諭してやりたいんだ
ねぇ、君
現代人のたしなみとしてトラウマのひとつやふたつは備えておく必要があるんだ
ねぇ、君
僕の思い出はあの日、超合金ロボのロケットパンチとともに失われてしまったんだ
ねぇ、君
北海道に行った人はおみやげに「白い恋人」を買ってくるけど北海道には「白い恋人」よりもおいしいものが山ほどあるはずなんだ
ねぇ、君
三角形の秘密なんてどこにもなかったんだ。
ねぇ、君
「気球に乗ってどこまでも」は星座の世界に達したとして、実際に乗っている人々は大惨事どころの騒ぎじゃないんだ
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ねぇ、君
動物園に行くと君はサル山でどれがボスザルなのかを探るのにすごく夢中だったんだ
ねぇ、君
水族館に行っても君はマグロ水槽でどれがボスなのか探るのにすごく夢中だったんだ
ねぇ、君
寒いのはわかるけれど靴下を手にはめるのはよしたほうがいいと思うんだ
ねぇ、君
たまねぎを切った後、いつも指のにおいをかがせようとするのはやめてほしいんだ
ねぇ、君
「髪を切ってあげるから」と言いながらハサミを二刀流で歩み寄ってくるのは怖いからやめてほしいんだ
ねぇ、君
僕がインターネットでホームページを見ている横で「これはお気に入り?」とページごとに質問するのはやめてほしいんだ
ねぇ、君
にぎったばかりのおにぎりを台所から「はい、パス」とこっちに投げるのはやめてほしいんだ
ねぇ、君
サンドウィッチにナスを挟むのはやめてほしいんだ
あの時、君がサッカーを見ながら
「ゴールキーパーってジャンケンに負けた人がやるんだよね」と寂しげに言った気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が窓の外を眺めながら
「福井県ってどこだっけ」と言った気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が窓の外を眺めながら
「バナナには七つのむきかたがあるのよ」と言った気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が窓の外を眺めながら
「ナマケモノの中には一匹のケモノが棲んでいるの」と言った気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が窓の外を眺めながら
「わたし負けましたわ」とつぶやいた気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が窓の外を眺めながら
「飛べない豚はただの豚、か・・・」とつぶやいた気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が窓の外を眺めながら
「誰もヤムチャの気持ちなんかわかってないくせに」とつぶやいた気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が窓の外を眺めながら
「バタフライじゃなきゃダメなときってあるのかしら」とつぶやいた気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が高校生クイズを見ながら
「○×ひとつで大騒ぎ、か・・・」とつぶやいた気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が窓の外を眺めながら
「中の人も大変よね」とつぶやいた気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が窓の外を眺めながら
「エキゾチックジャパン、か・・・」とつぶやいた気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
あの時、君が窓の外を眺めながら
「サッちゃんって、ほんとはサチコっていうんだ・・・」とつぶやいた気持ち、今ならなんとなくわかる気がするんだ
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ねぇ、君
ずいぶんキーボードを打つのが速くなったなぁと思ったら、画面には「kじょdさじfdかいfj」と打たれていたんだ
ねぇ、君
「階段の踊り場って」と言いかけたところで僕には君が言いたいことの全てがわかってしまったんだ
ねぇ、君
君は幾度となく僕をだまして女性専用車両に乗せようとしていたんだ
ねぇ、君
君は怒ると僕の部屋の電球を盗んでいってしまったんだ
ねぇ、君
君は怒ると僕の車のダッシュボードにチョコレートを放置するというトラップをよく仕掛けたんだ
ねぇ、君
君は怒るとすごく辛いカレーを作ったけど、涙目になって一緒にそれを食べる君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
ラーメン屋の食券機で味玉やチャーシューのトッピング用ボタンは、別に同時押ししなくてもいいんだ
ねぇ、君
君がテレビの占いランキングの勝敗表をこっそりとつけていることを僕は知っていたんだ
ねぇ、君
君が寝言で「うーん、もう出ないよぉ」と言っていたのはいったいどういう夢を見ていたのだろう
ねぇ、君
君が寝言で「今日はちょっと変わった酢豚を作ります」と言っていたのはいったいどういう夢を見ていたのだろう
ねぇ、君
君が寝言で「もう一回、もう一回だけチャンスを」と言っていたのはいったいどういう夢を見ていたのだろう
ねぇ、君
君が寝言で口走った「ババロアの五段活用」が気になってその夜はあまり眠れなかったんだ
ねぇ、君
「甘栗むいちゃいました!」と書き置きしておやつに栗を用意してくれる、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
エンピツ削りで削るときにどうしても歯を食いしばってしまう、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
ゼビウスのオープニング曲が鳴り止まないうちに自機の爆発音を響かせる、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
しりとりをしていて負けそうになると「ヒントちょうだい」と言う、そんな君のことが僕は好きだったんだ
ねぇ、君
ジャンケンのチョキのことを「チー」と言う、そんな君のことが僕は好きだったんだ