樹海で待ち合わせする青白い恋人
あおば



再会の地に佇んで草臥れた
10年間待ったけどまだ来ない
樹海では磁石が効かないから
GPSが必需品といったのに
頑固なデジタル嫌いなお人なの
あの人は古臭い
ゼンマイ時計が好きなのです

100年後
街が森を浸食して裸になったとき
防水の時計は拾われて
古道具屋を喜ばした
白骨は珍しくもないので
蹴っ飛ばされて
踏み潰されて
粉々になった
生分解性プラスチック性の
人造人間の白骨死体なんて
誰も怖がらないけど
天然人間が人を怖がるのはなぜだろうと考える
殺されるから/食べられるから/自由を束縛されるから
なんだか知らないけど
おなじ有機物同志なのだから
もう少し融通を利かしても良さそうなのに
全く聞く耳を持たない
中古の脳を拾ったから
リサイクルして使うなどと言うことは
当分見込みありません。
新品の無機コンピューターが信頼性が高く
中古品でも高く取り引きされております。
新品の人間は在庫がないので
相場が立ちません。

<今日の戯れ言一行>

不二の高値に遊木は古りけり。





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タイトルは「ANNE ∞ limited」の「奇天烈デモクラシー」より


未詩・独白 樹海で待ち合わせする青白い恋人 Copyright あおば 2005-08-25 07:10:55
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