クリスマス・カロル
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 自動販売機の傍ら

 うずくまる人かと思えば

 ゴミ箱だった





TAXIは高いから 終電で帰るよ
それって私よりお金の方が大切って事?
違うよ ほら また明日会えるしさ
うそ ちょっといじめてみただけー
(零れる笑い、殻カラカラ)
じゃ また
おやすみー
おやすみ

転びながら遠ざかる影

美しい紙を
一枚、二枚、と数えている
この夜は
不思議な紙と引き換えに
うまい食事をして
やわらかな酒を飲んで
高い部屋に高いオンナを呼んで
朝がくるまで
死ぬ気で
呆けようか

歓声
歓声

群れが離散してゆく
巣に 還るのだろうか
TAXIが割れて
一匹、二匹、と飲み込んでゆく
夜に耽りながら
ある掌は腰に
ある掌は腿に
またある掌は秘部を弄っているに違いない
夜に耽りながら
割増料金が支流へ還ってゆく

不埒な雪
電子音
盲獣




贈り物を探しています
喜ぶ顔がみたいので
ほら このとおり
綺麗な紙をたくさん持ってきました
素敵な贈り物と交換してください
それとも
この紙を贈ったほうが 良いでしょうか?

歓声

幸せなのは不幸せが無いこと
不幸せなのは幸せが無いこと
尾を飲む蛇を輪投げのように放ること
水澄ましの視界に悲しみを教わること
過去現在未来という言葉を創って
袋小路でめそめそ泣くこと

歓声

指揮棒が激しさを増す
最高潮が近いのだろう
光の中で耳をすませば
おおお
零れる声、殻カラカラ と

ひとりひとりの声が
夜の街を編み上げてゆく
夜ごとうまれる街の歌
この
この光の夜には
紛れずに響けよCAROL
大きな声で
ありったけの声で
ありったけの声で





 自動販売機の傍ら

 うずくまる人かと思えば

 それは








自由詩 クリスマス・カロル Copyright 投稿者 2005-08-23 04:24:46
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