ノート(25Y・11.7)
木立 悟





    私の瞳は濁った緑
    私の指は三本しかなく
    私の髪は闇の捨て子だ
    私へ向かうすべての心は
    空の貝のようにねじくれている
    本当の心はいつの世もあるが
    私の濁った目には映らず
    私はいつしか迷路の住人
    ほどなく飢え死にするさだめ
    私のすべての液がたどるべき
    あなたへの道はいつしかふさがれ
    私はどこからか来た種を喰む
    水のないまばゆい原となる
    想いの星座をかたどる飾り
    私と同次の鉛のくちべに
    私のなかに溶けてしまった
    無数の兄 姉 妹とともに
    ふたたびの ふたたびの
    白しか描かぬ邪の秋と
    ヒメジョオンの篝うつぶせ
    私は弾けない楽器を鳴らす






未詩・独白 ノート(25Y・11.7) Copyright 木立 悟 2005-08-20 17:06:41
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