いったい何を企んでるんだ僕のかわいい子猫ちゃんたち
いとう





チャットに参加している女の子の名前がすべて
昔付き合っていた女の子の名前と一致しても
慌ててはいけない
もちろんそれはただの偶然
たぶんおそらく
偶然だと思いたい

チャットに参加している女の子がすべて
思い出話を秘話機能で語り出したとしても
慌ててはいけない
もうそれはただの偶然
ではなく必然なのだけれど
慌ててはいけない
知ってるのは僕一人
女の子は誰も知らないここにいる女の子全員が僕と寝たことあるなんて
誰も知らない
知ってたら怖い

深呼吸をひとつ。
(もちろん僕が深呼吸したなんて誰もわからない)
そして手際良くかちゃかちゃと
キーボードはキーを打たれ
電話線は何も考えずに電気に変換された言葉を送り
モニタは望んでもいないくだらない言葉を映し出され
そして僕はそれぞれの会話をクリアするのに精一杯で
まったく
辟易している
辟易している
僕は辟易しながらおののいている


意思をもて石を持つもの そのいしを投げつける先に僕は佇む(即興短歌)


そんな夜もあるよベイビー
そんな夜もある
思い出話にもなれない
そんな夜は
詩を書くしかないじゃないかベイビー
詩を書くしかない
詩を書いてみんなに見せようベイビー
子猫ちゃん全員に見せるんだベイビー
そしてみんなに笑ってもらうんだ
みんなに石を投げてもらうんだ
そして本当に
本当にこの僕と寝た女の子がこの詩を読んでも
僕は平気なのさベイビー
だって全部フィクションなんだから
わかってるくせに
ベイビー








未詩・独白 いったい何を企んでるんだ僕のかわいい子猫ちゃんたち Copyright いとう 2003-12-18 17:28:05
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