三月ウサギはニセウミガメに言いました
「世界中であんたほど得体の知れないものはないね」
ニセウミガメ謙遜して言いました
「チェシャ猫さんほどではありませんよ」
三月ウサギは小馬鹿にしたように言いました
「あんたは歩くのが遅いんだってね。呪いの〜亀〜(笑)」
ちょっとプライドを傷つけられたニセウミガメ
「何を言うのかと思ったら…。競走しますか?」
ということで、むこうの小山の麓まで競走することになりました
いわばおとぎ話界での生存競争/競走でありました
「ハンデをやるよ。僕は君の5分後にスタートしよう」
「そんなこと言っていいんですか?」
「かめへんかめへん」
ニセウミガメスタート。ヌタヌタヌタヌのろいことったら
しかし亀屋万年堂の角を曲がったとたんに
ニセウミガメは脱兎のごとく亀戸方面に走り出しました
その頃三月ウサギはというと…
「三月ウサギ」という名前の由来通り発情しておりましたので
まだ新大久保で外国人をナンパしておりました
あの娘がいいか、あっ、こっちの娘が落ちそう、と
二兎を追う者は一兎をも得ず、とうとう不発に終わったとき
彼はいくらなんでもそろそろ追いかけなきゃとスタート
♪鰻美味し香具山 コブラ釣りし鴨川
そんな歌を歌いながら三月ウサギはGPSを取り出しました
「ん、亀のやつ、6マイル先かよ。結構早いな」
GPSは米軍放出の代物でしたのでマイル表示なのです
三月ウサギは進みました、6マイルの半分だけ
さらに進みました半分だけ
そして半分、そしてその半分、さらにその半分…
三月ウサギはすでにニセウミガメが見えています
車間距離の半分、さらに接近しました、が
そこでふと思いました
「半分をいくら半分にしても、ゼロにはならない」
そうです。彼は永遠に追いつけないのです
これがかの有名な『ゼノンのパラドクス』です
「ちっ、新大久保で道草を食ったせいか」
違います。そういう考え方がいけないのです
彼が「半分」にこだわり続ける限り
ニセウミガメに追いつくことは永遠に叶いません
BGM
カマ カミ カム カメ カモ ♪
ウサギ フサギ フシギ ♪
そのとき
「ハンブン」は知らないけれど
「ハンペン」を知り尽くした
雁モドキ
あっという間にウサギとカメを追い越して
オデンの園の、
塒にたどりつきましたとさ
Kuri, Kipple : 2005.08.03
sさんに。遅くなりました