夏の影
フユナ

ねえ 南十字星ってどれですか
と恋をしていた
空はあんまり星だらけだったので
はたして
その星をあなたが知っていたのか
わたしは知らない
し、
知らなくてよかった



白線を
ゆらゆら歩いています
バランスをとりながら
脇道にそれると
あなたの家がある
角に、百合
白線はそこまで続いていない



ちょうどそこで
昔のあなたにぶつかったので
ありがとう と言っておきました
家に送ってくれて どうもありがとう
どうもありがとう
もうわたしよりわかい
あなたに
飴でもあげようとしましたが
やっぱりあなたには わからなかったみたい

飴は食べました
レモン味



ねえ
あなたはいつも
無事に帰っていたのかしら


見送る
いつもの黒いシャツの
とける
うしろすがた

角に百合
かげりながらも白く
百合




 
 
 
 




未詩・独白 夏の影 Copyright フユナ 2005-07-29 01:26:04
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