くしゃみ
船田 仰

しんぞうのさきで消えそうだ
ぼくは左手をあげて宣誓する
見限られた雨の夜から生真面目な明日まで
ぜんぶ許せない
でもぜんぶ笑ってみせて

今日も呼吸はとまらなかった
丸めた膝小僧でぬるい風をうけて
返事をしないぼく
ゆるぎなく許されないぼくのほっぺたは
肉でしかない
さよならの経緯をすべて
夢のなかで教えるのはやめてよ

いちばんのはやさで早送りして
見直さないように目隠ししとくから
メールに託された情報だけでは
どうにもかなしいんだ
編みこまれた優しさを燃やすには
雨の夜が
先を行き過ぎているんだ

まとめてくしゃみにして
ポケットを空っぽにできたら、とか
嘘っぽくて素敵なのにと
おもう


未詩・独白 くしゃみ Copyright 船田 仰 2005-07-26 23:03:51
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