をさなぶり
白糸雅樹

会いに来て腕一杯の猫じゃらし花束にしてリボンをかけて

うつせみやあなたの上着をだきしめてくんくんくんと息を吸いこむ

小枝とか石だとか夜空情報とかわたしのもとにもたらす人よ

朝風を浴びてごらんと我を呼ぶ声くりかえし聞きたくぐずる

君の夢ボーリング工事してあげる窓をいばらで包んであげる

愛情は信じられない閉じられた障子に映る兎と狐

いつか消え去りたいなどと言っていてドアを開けたら砂漠広がる

次々と金魚が死んで取り返しつかないことを初めて知った

指先をぴんと伸ばして手は斜め八十五度を指し空を往く



短歌 をさなぶり Copyright 白糸雅樹 2005-07-23 23:15:33
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