巴里に逃げる
Six

足をすべらせた先はメトロ12号線の乗り換えの複雑な何とかという駅
スイングするのは、もういいやね
天井から謎の配管の先っぽが垂れ、汚れた水がひっきりなしに落ちる
時差の彼方の蒸し暑い故郷に、あのこととあのこと、置き去りにしてきた
スイングするのを、しばらくやめて
乗り換え電車を求めて狭い通路をじりじりと回遊していると
わたしの髪の毛には下水道の臭いがこびりつき
ちょうど
「あたまかくして、しり、かくさず」
という言葉そのままに、うまく逃げおおせたつもりに、なっている


未詩・独白 巴里に逃げる Copyright Six 2005-07-10 23:56:39
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