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うつくしい言葉を残すのはやめろ
ここだけに反応していろいろ書いたらたくさんの人を敵に回しそうだなと思っ
たが、そうでもないのかな。詩人の苛立ちだなぁ。本当にそんなものを望むの
かお前達はと小さい声で叫んでみるが、天に向かって吐いた唾は自分の顔に
降ってくるものでもある。これまで生きてきて残した言葉は思い出すと後悔す
るようなものばかりだと思ってしまう。だから思い出してはいけない。そんな
言葉は俺は言っていないと言い張っておくのが良い。
作品として考えるとこの言葉は、なんとなく自分攻撃に思えた。うつくしい言
葉を残したのは「俺」自身ではないか。
> あれは悲しみで、あれは俺じゃない
悲しみを伝えるための言葉であり、「俺」を伝えるための言葉ではなかった。
やはり後悔だ。数十分前にこの部屋から出て行った相手に対して告げた悲しみ
の言葉に対する後悔だと思った。伝えたかったのはそんなことではない。
なかったことにすれば良いのだが、そういうズルさはここでは描かれない。あ
る意味、真摯であり、ある意味、若い。太陽と同じくらい熱い。爆発するはず
もない世界を爆発させるくらい熱い。乱暴であり、正直であり、短絡的であり、
真剣だ。
うつくしい言葉を残すのはやめろ
なんでだろうな。うつくしい言葉は「うつくしい」からダメなんだろうか。う
つくしいからみんな騙される。騙されたまま満足する。うつくしくて良かった
と。
本当に伝えたいことはもっと酷く相手にとって望ましくないものなのだろう。
うつくしい言葉に比べたら非効率な言葉だろう。それがもし伝えられるとした
らどうなるのだろうか。
どうなるのだろうか、と考え始めた瞬間から僕たちはすでにうつくしい言葉を
考え始めているのだった。