彼女はエリンギ中毒
あおば




エリンギとはなにか
考証してみた
いや
考証しようと考えた

名前の
瞬発力からは
超能力のある
伝説の占い師の名前であろうと考えた
古来、占い師は
男である場合が多いから
エリンギに
中毒する女性は
母子分離不安を抱き
母性が不足しているのかも知れない
そして
占い師は
占いが外れると
殺されて
首を切られて
首は神への癒しに捧げられる
女性的なるものが神だと考えれば
今でも十分納得できる
そんなことを考えた

エリンギは
辞書には載っていないから
ネット検索してみたら
エリンギとは
食用の茸で
1995年頃から普及したという
写真を眺めたら
見慣れた
お馴染みのすがたかたちで
笊の中に
鎮座している姿は
やはり神々しい

季節の変わり目
椎茸が高いとき
スーパーの目玉商品になろうが
肉の代用に
ハンバーグの
増量剤として使われようが
中毒する心配はないようだ
そのへんがおもしろくない
むしろ
中毒するほど食べた女性は
エリンギ教の教祖として
神懸かりを得て
身も爽やかに
気懸かりなことを咀嚼することなく
溶かして身体中に吸い取って
いい味を出して
誰からも敬われず
苦にもされず
そういうエリンギ的な
素朴な
存在になっている
そのような
惚けた毒素が有れば
もっと尊敬されることだろう
尊敬なんてことばは
あなたの辞書にはないかも知れませんが
エリンギ中毒ということばは
脳天に刷り込まれ
子々孫々末代までも
微力ながら
思考過程のスイッチング速度をすべすべにして
首狩りの淡い記憶を思い出させてくれるかも知れない
とにかく日程がつかないので
明日の
エリンギ的なあまりにもエリンギ的なという
毀誉褒貶の歌合わせは欠席いたします






タイトルは「奇天烈デモクラシー」より


未詩・独白  彼女はエリンギ中毒 Copyright あおば 2005-06-03 23:24:52
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