高知行き703便
りつ

バスタ新宿は
ひとの群れでむんとしていた
二酸化炭素が多くなって
何となく甘いような
粘度のある空気
ひとびとは
疲れてみえた

帰るのだ
(いえ、行く)
懐かしくもない
私を拒む地へ
お墓参りをしたくて
子供の頃の遊び場は
全て道路か家屋になっていた

夕餉のにおい
窓からの湯気
たちこめたちこめ
遊んだ帰り道
懐かしく
なんだか胸が痛かった

そんな長屋ももうない

バスの車内は狭く
歩く幅もない
窮屈に身体を畳み
文字を打っている
すでに消灯してるから
もうすぐ眠くなるだろう
眠っているうちに
朝が来てほしい

楽しむ気にもなれない
隣のひとが
トイレによく行くので
休まらない

長い夜
いろんな眠りを連れて
バスは走る


自由詩 高知行き703便 Copyright りつ 2025-11-29 23:55:00
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