雨にもまけず
月乃 猫


うす紅のキンギョソウ一輪 その

散る音に目を覚まし、沈黙は山の見つめるとき

神宿る七月の森は、こな雪

里の稲穂は葉の鋭さを増し、生きる 道しるべ

石の鳥居をくぐれば 我をわすれ

石段は自然石を踏む

巨きな杉のかげ 榊はあおく 神話が始まる

剣から生まれし女神の 霧をゆく祈りを耳にし

子種の石の 声にひざまずく

人の願いはこだま 未知にただ一途に乞う

まことに 声が 届けられますように

心の底に沈む小さな錆びた鈴の音が

その声を少しづつ荒げるように 響き 響き

笑顔をもとめず

喜びを勘定に入れず

楽しみを貴ぶことをせず

欲にみたされず

滅びのこの世に 涙する




自由詩  雨にもまけず Copyright 月乃 猫 2025-07-19 13:22:27
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