硝子の石
バンブーブンバ

鼓動の響く夜に
僕らは
互いの石を探しに海へ駆けった
ひざ下まで埋まる光の棉を踏みしめて
薄い呼吸を散らして
僕らは
過去を ひそめる

今宵
君があんまり強く握るから
はしゃぐから
影さえ大きく揺れたんだ

渚で
僕らは石をえらんだ
レモン色
これが僕のイシだ そして
瑠璃色
君を 明日へ送る
 
過ぎ去る今日よ
君は 岬のほうへ右足を投げだし
僕は 左手で曳かれる影を掬い
指の透き間から
セピア色を

セピア色も 忘れてしまうのだろう
君という名の 波音も

「未来へ駆けるために、過去を見つめる」
レモン
「過去を見つめるために、未来へ駆ける」
瑠璃

硝子のイシは 波打ち際で時を削り
石となる



月明かり 
今宵の水面はあの日の水面で

右足を踏ん張る
硝子のイシを握る

投げる


レモン


縦に


瞬いて






自由詩 硝子の石 Copyright バンブーブンバ 2003-12-01 10:10:47
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