イブの日のこと
平瀬たかのり

 もう幾年前になるでしょう
 十二月二十四日
 普段通りのお弁当を並べていました
 
 初めて来店したおばあさんは
 「今日はクリスマスやから」と言って
 唐揚げ弁当を
 ひとつ、買っていきました

 商才のなさにようやく気付いたのは
 それから一年経ての十二月
 店を閉じる少し前でした

 それはずっと覚えていることなのです


短歌 イブの日のこと Copyright 平瀬たかのり 2023-01-16 21:09:35縦
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