「天恵の訪れ」
ジム・プリマス

部屋の中は相変わらず寒い
風呂を沸かして入ったけど
さして温かくならなかった
今日の夕食は豚バラの茹で豚だ
夜遅くに台所で調理をすると
近所迷惑になるので
おかずだけ先に作った
後は焼肉のたれと
古漬けのキムチを
冷蔵庫から出してきて
器に盛るだけでいい
冷めた茹で豚も
独特の香りがして旨い

今日もYouTubeで
ジャズを流している
煤けたハーマン・カードンの
電気クラゲから流れてくる
ジャズを聴きながら
二週間分の献立と
買い物計画を立てて
ノートに詳細を書いた
一月後払いの電子決済と
一週間後に給付される
五万円の給付金を組み合わせて
赤字の額を二万円ほどに収める
相変わらず懐も寒いままだ

インスタントのコーヒーに
ドラモリで買ってきた氷を入れた
アイスコーヒーを飲みながら
ワードの白い画面に向かって
詩作を継続している
詩を書くということは
ため息をつくことに似ている
ため息をつけるだけ
優雅なのかもしれない
そんなことを考えながら
シケモクに火をつけて
紫の煙を吸い込む
天球と地球のどこかから
天恵が訪れることに
淡い期待を抱きながら



自由詩 「天恵の訪れ」 Copyright ジム・プリマス 2022-12-01 22:36:37縦
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