戦士エイソスとエインスベル(九)
朧月夜

「それは心強いな。しかし、フランキス・ユーランディアとは……」
「そうだ。あなたの妻を盗むのだ。それだけ手練れのものでなければ」
「我が家の従僕たちも無能ではない。そう簡単に盗めはしないだろう。
 だが、もし本人がここにやってくるとすれば……」
 
「危険だな」と、エインスベルもうなづく。
「フランキスとは、どのような人物なのでしょう?」と、リグナロス。
「フランキスは、アイソニアの騎士を手にかけようとした男だ。
 クールラントの千人隊長のなかでも、野心家だと思われている」

「それは厄介ですね。彼を打ち倒すことは出来るのですか?」
「エインスベルがここにいてくれるのなら、可能だろう」と、エイソス。
エイソスは、ゆっくりとした動作でうなづいた後、口を開いた。

「たしかにな。フランキスは、魔道ではわたしに敵うまい。
 そして、武芸ではあなたに敵わない。二人で一人前というわけだ」
「大した謙遜だな」大きな声を立てて、戦士エイソスは笑った。


自由詩 戦士エイソスとエインスベル(九) Copyright 朧月夜 2022-11-28 21:34:07
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