坂道をつくらない
竜門勇気


こっから本番だよって夜に
眠くてたまらない
のぼった分だけおりた
くだんねーことは
やめにしよーって言ったばっかり

ひどいやつらだあいつらは
交わし合う喫煙室でのふたりきり
話になんない話の結末
盛り上がったり盛り下がったり
結局なにも起こってなんかない

坂道なんかどこにもつながってない
クソ袋小路さ
糞袋たちの大発見
アヌスの皺から新発見
かつて俺たちゃ誰かの餌だったんだ!
そうさ!今は誰かのクソさ

力尽きてたどり着いた街で
どっかにある自分ちを探してる
キスしたりされたりする深夜
なんでなんにも起きないんだろう
ずっと探してる
どっかにある自分ちを探してる

しがみついてすぐに離す
死にものぐるいのつもりだ
手に力が入らないから
夢中になって歯を食いしばるのに
なにかが遠ざかっていく
奥歯がジャリジャリしたものを噛む
また歯が欠けた

こっから楽しくなるんだって時
今夜こそ楽しむんだって時に
もうおめーはクビだって
台無しにされるんだ
おめーはまともな人間じゃねー
あちこちぶっ壊れてる
心だけはまともな気でいるみたいだけど
そう思ってんのはあんただけさって

こっちはもう
そんなのはわかってるさ
そんなんではなんにも変わらない
言葉が通じねーのは畜生と一緒だと
殴られながら謝ってるときも
謝ってたけど
言葉はわかってたけど意味がわからない

苦労したり痛さに学んだりすれば
あんたらみたいになるのか?
汗と鼻水にまみれてのぼる坂道
こっちが正解だといわれて
拒めばゴミ箱行きののぼるだけの坂道

坂道なんかどこにもつながってない
クソ袋小路さ
糞袋たちの大発見
アヌスの皺から新発見
かつて俺たちゃ誰かの餌だったんだ!
そうさ!今は誰かのクソさ



自由詩 坂道をつくらない Copyright 竜門勇気 2022-09-22 00:37:13
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