薄い殻


うすぐもり
ベランダから
なにを見ているんだろう



それとも

ひとだけに
不自由がはびこる

気づくと
いつ死んだかわからない
カタツムリの
はりつめたような薄い殻に
触れていた
プランターに辿りついた日のかたちまま
時間からとり残された渦巻きの
やわらかな身体は消えて
なんてうつくしいんだろう

これから起こることはみんな
割れるような不可逆の現象
壊してはいけないと思う
いいえ
壊せやしない
ゆびさきに全神経を集中して
どのくらい脆いのか
そっと感じとっているところ


 


自由詩 薄い殻 Copyright  2022-09-09 01:07:23
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