海底の空
soft_machine

海底の都市から見上げた空に
着水する紙飛行機が
ひろげる波の敷布と
雨だれがからむ

おおきな口で
迫るもの
不意に肩をだきすくめる
水草の気配
ここでは誰もが作曲家だから
ことばの哀しみは育たず
ここでは誰もが画家だから
人ははだかの化石でいられる
枯れることのない園生
割れるはずもない氷河
夜の公園で
見えない毬をつきながら
月にしのびよる影

すべて濡れてしまえば
水面にあった機体は
動かぬものにつみ重なり
また落下しながらゆがむ空に
むかし目指した星の残光を見る



自由詩 海底の空 Copyright soft_machine 2022-09-06 22:23:56
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