ヨランの挑戦(七)
おぼろん
「さて、アイソニアの騎士様。わたしたちはこれから、とある場所へと、
向かわなければなりません」勿体ぶったように、ヨランが言う。
アイソニアの騎士は、じとりとした目で、ヨランを睨む。
「うむ、そうだな。我らはハーレスケイドに来たばかり。道案内はお前に任せよう」
「それなのですが……騎士様。幽冥界とは、そもそも現世とは異なる世界でございます。
東へ行けば東へ、西へ行けば西へと辿り着くものではございません。
それどころか、時の流れさえも、幽冥界と現世とでは異なっております。
ことに、ここハーレスケイドでは、時は全く止まっているとも言われております」
「時が止まっているだと? それはどんな意味か?」
「ここで過ごした数日が、現世では一日にも満たないのです」
「それでは、エインスベルの死刑の執行も止まっているということなのか?」
「そうでございます。ここで何日を過ごそうと、何か月を過ごそうと、
現世では時が止まったままです。エインスベル様は、依然としてその牢獄に囚われているでしょう。
しかし問題があります。わたしたちはまず、協力者を得なければいけません」
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クールラントの詩