美しい女の龍の夜
秋葉竹




夜は
良いんだけど

やっぱ
真夜中てっぺん超えて
なにかをするのは
ダメだな

昨夜ってか
今朝は
ダメダメだったな

タツノオトシゴが
龍になれないみたいに
愛だけあっても
やさしいひとには
なれないみたい
って
あらためて
理解させられたよ


愛だけがあれば
それで良いんだって
想ったって

疼く心なんて
泣きはらしたまぶたみたいに
放っておかれるし

それで寝床で
あかるく笑って夜空を飛んでいる
夢だけみるんだ

今夜だけが
聖夜なんだって
知っている
美しい女の龍が
天翔ける
星月夜

その龍は
夢の中では
生きているみたいに愛している

そういえば
あのときみた龍は
すこしだけ
さみしそうな眼をしていたな

さすらいの物語にも
飽きているような
気だるげな瞳で

三日月をみあげていたなぁ
翔びもせずに
歓びもせずに
媚びもせずに

そしてもちろん
飽きもせずに


だから
そんな彼女に
蕩けるように
惚れてしまったのだったけれども

そして
それは当然たわいもない
むかしがたりの
たわごとだったりするのだけれども













自由詩 美しい女の龍の夜 Copyright 秋葉竹 2022-08-25 22:01:40
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