マトリョーシカ
花形新次

自称詩人の脳天には皆
Φ10mmぐらいの穴が開いているので
そこから
頭の中を覗いてみたら
小さな自称詩人がいて
こっちを見上げて
「何見てんだよ!」って怒った
よく見ると小さな自称詩人の脳天にも
穴が開いていたので
自称詩人の頭を斧で割って
小さな自称詩人を取り出して
その脳天の穴を顕微鏡で見てみたら
もっと小さな自称詩人が
こっちを見上げて
「なんだ、バカ野郎」って
往年の荒井注のギャグを言ってのけた
そのとき私は
もっと小さな自称詩人の脳天にも
穴が開いているのを見逃さなかった
こいつらマトリョーシカだったのだ

自称詩人が減らない理由が分かった



自由詩 マトリョーシカ Copyright 花形新次 2022-08-25 20:52:14
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