裳の形地
あらい

玉虫色のイトクズが不揃いな 唇を噛みしめました
底しれぬ力、ガラス細工の 破れ戸の、母親みたいな
遥かに。ぶすりとした氷の前例を くるりと徹して
誰の目にも止まらない、無垢に生死を縫い付けられる

あなたの 痣も
きみの 熱も
上の空に 
ひた隠して湧き上がる

おなじように 草の上でダイヤモンドは輝いていた
ただ静かに眠ったのかもしれない
トワイライトこそ 肩を寄せ合うように傾いている
雰囲気に飲まれただけなのだろう

それから面が平たい大地を踏む 音楽堂の ものかたち
涎が垂れている 箸から端の 誰も彼もが考えつく
――くれないの、橋

一度たりとて友人は振り返らなかった
わたしのかわりに(のびてしまうのでした)
結局水槽の機械化は間に合わなかった
ならばせたこどもは(くぐりぬけるといった)
あれが自由なのか いちばんにかたまり、

とめ、よる――はねる。

無街燈に照らせ 
ひたむきに 
いっぱいいっぱい

真珠は、石ころは。万年、つるべに噴き上がる
「あれは 鳩ではありませんでしたよ」
じめついた冷笑の。白玉の汗を吸わせる 項などして


自由詩 裳の形地 Copyright あらい 2022-08-24 17:50:42
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